大判例

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水戸地方裁判所土浦支部 昭和57年(ワ)77号 判決

②判決

甲事件原告・乙事件被告(以下、「甲事件原告」という。)

要蔵寺

右代表者代表役員

浦上然道

丙事件原告・丁事件被告(以下、「丙事件原告」という。)

本修寺

右代表者代表役員

木村真悟

右両名訴訟代理人弁護士

宮川種一郎

松本保三

松井一彦

中根宏

中川徹也

猪熊重二

桐ケ谷章

八尋頼雄

福島啓充

若旅一夫

松村光晃

北側一雄

大口善徳

漆原良夫

小林芳夫

乙事件被告・丙事件原告・丁事件被告訴訟代理人弁護士

宮山雅行

甲事件被告・乙事件原告(以下、「甲事件被告」という。)

田村竜道

丙事件被告・丁事件原告(以下、「丙事件被告」という。)

内山法堂

右両名訴訟代理人弁護士

中安正

片井輝夫

弥吉弥

小見山繁

山本武一

小坂嘉幸

江藤鉄兵

富田政義

川村幸信

山野一郎

河井怜

伊達健太郎

主文

一  甲事件被告は、甲事件原告に対し、別紙物件目録記載一の建物を明け渡せ。

二  甲事件被告の請求を棄却する。

三  丙事件被告は、丙事件原告に対し、別紙物件目録記載二の建物を明け渡せ。

四  丙事件被告の請求を棄却する。

五  訴訟費用は、甲、乙、丙、丁各事件を通じて甲事件被告、丙事件被告両名の負担とする。

六  この判決は主文第一、第三項に限り仮に執行することができる。

事実

第一  当事者の求めた裁判

(甲事件)

一  請求の趣旨

1 主文第一項と同旨

2 訴訟費用は甲事件被告の負担とする。

3 仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1 甲事件原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は甲事件原告の負担とする。

(乙事件)

一  請求の趣旨

1 甲事件被告と甲事件原告との間において、甲事件被告が甲事件原告の代表役員及び責任役員の地位にあることを確認する。

2 訴訟費用は甲事件原告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1 主文第二項と同旨

2 訴訟費用は甲事件被告の負担とする。

(丙事件)

一  請求の趣旨

1 主文第三項と同旨

2 訴訟費用は丙事件被告の負担とする。

3 仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1 丙事件原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は丙事件原告の負担とする。

(丁事件)

一  請求の趣旨

1 丙事件被告と丙事件原告との間において、丙事件被告が丙事件原告の代表役員及び責任役員の地位にあることを確認する。

2 訴訟費用は丙事件原告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

1 主文第四項と同旨

2 訴訟費用は丙事件被告の負担とする。

第二  当事者の主張

(甲、丙両事件)

一  請求原因

1  甲事件原告は別紙物件目録記載一の建物(以下、「本件建物一」という。)を、丙事件原告は同目録記載二の建物(以下、「本件建物二」という。)をそれぞれ所有している。

2  甲事件被告は本件建物一を、丙事件被告は本件建物二をそれぞれ占有している。

3  よって、いずれも所有権に基づき、甲事件原告は甲事件被告に対し本件建物一の明渡しを、丙事件原告は丙事件被告に対し本件建物二の明渡しをそれぞれ求める。

二  請求原因に対する認否

請求原因1、2の各事実は認める。

三  抗弁

1  訴外宗教法人日蓮正宗(以下、「日蓮正宗」という。)は、昭和二七年一二月宗教法人法により設立された、宗祖日蓮立教開示の本義たる弘安二年の戒壇の本尊を信仰の主体とし、法華経及び宗祖遺文を所依の経典として、宗祖より付法所伝の教義をひろめ、儀式行事を行い、広宣流布のため信者を教化育成し、寺院及び教会を包括し、その他この宗派の目的を達成するための業務及び事業を行うことを目的とする宗教法人であって、その自治的規範として、宗教法人法上の規則である日蓮正宗宗制(以下、「宗制」という。)及び宗教団体(宗派)の規則である日蓮正宗宗規(以下、「宗規」という。)を有する。

2  甲事件原告及び丙事件原告(以下、両原告を「原告ら」と総称する。)は、いずれも、日蓮正宗に包括される寺院で、宗制に定める宗祖日蓮所顕十界互具の大曼荼羅を本尊として、日蓮正宗の教義をひろめ、儀式行事を行い、広宣流布のため信者を教化育成し、その他正法興隆、衆生済度の浄業に精進するための業務及び事業を行うことを目的とする宗教法人である。

3  宗規によれば、日蓮正宗管長は、同宗の教師資格を有する教師の中から、包括する寺院の住職の任命を行う権限を有すると定められている(宗規一五条六号、一七二条)ところ、いずれも同宗管長により、甲事件被告は昭和四三年一二月ころ甲事件原告の住職に、丙事件被告は昭和五二年一一月ころ丙事件原告の住職にそれぞれ任命された。

4  日蓮正宗においては、被包括寺院の住職は、その在任期間中当該寺院建物に居住してその占有、管理を行う慣行上の権限があるものとされており、右各被告らは、それぞれ、原告らの住職に任命されたころ本件建物一、二に住職として居住してその占有を開始した。

四  抗弁に対する認否

抗弁1ないし4の各事実は認める。

五  再抗弁

1  日蓮正宗の第六六世法主細井日達(以下、「日達」という。)は、昭和五四年七月二二日に死亡し、昭和五三年四月一五日に法主日達から血脈相承を受けていた大僧都阿部日顕(以下、「日顕」という。)が第六七世法主に就任するとともに、宗規一三条二項に基づき同宗管長に、また宗制六条一項に基づき宗教法人日蓮正宗の代表役員にそれぞれ就任した。

2  甲事件被告、丙事件被告(以下、両被告を総称して「被告ら」という。)は、日顕が法主に就任した当初は、これに対して異議を述べず、日顕に信伏随従していたが、昭和五六年一月一一日付通告文をもって、日顕は血脈相承を受けていないと日顕の法主就任に異を唱え、日蓮正宗全国檀徒新聞「継命」同月二二日号にこれを掲載して公表するとともに同月二一日静岡地方裁判所に日顕を被告として、代表役員等地位不存在確認請求訴訟を提起し、同訴訟手続において、同趣旨の主張を行うとともに、「日顕『法主』の地位は、宗制宗規に基づかないいわば僣称にすぎず、就任には正当な根拠がない。」と主張するに至った。

3  ところで、日蓮正宗においては、当代の法主又は法主経験者から「血脈相承」を受けた者のみが、法主の退職又は死亡により次代の法主になるとの不文の準則がある。「血脈相承」は、教義、信仰上、血脈すなわち宗祖日蓮の「内証」(本仏とされる日蓮が悟った宇宙の根源の法理)及び宗祖日蓮がこれを曼荼羅にしたためた「戒壇の本尊」を次期法主に承継させる行為をいい、血脈を受ける者一人に対し(「唯授一人」)、口頭で(口伝)、具体的行為・内容も秘密裡に(秘伝)に行われるものとされ、これにより、宗祖日蓮の血脈が代々伝えられるものとされ、このことが日蓮正宗の教義、信仰の根幹をなしている。

被告らの前記所説は、日達から日顕への血脈相承を否定するもので、日顕以外には血脈相承を受けた者がいないことからすれば、日達が誰にも血脈を授けないまま死亡したことになり、血脈の断絶を是認するもので、日蓮正宗にとって重大な異説である。

しかして、教義の解釈、教義について正否を裁定する権限を有する管長たる日顕は、昭和五七年一月一六日ころ被告らの右所説が異説である旨裁定した。

4  そこで、日蓮正宗宗務院は、被告らに対し、昭和五六年二月四日付院第三〇〇号、同年九月一五日付院第四三八号及び昭和五七年一月一九日付院第四九九号の各院達をもって、並びに甲事件被告に対しては同年三月二二日ころ、丙事件被告に対しては同年九月三日ころ各到達の「訓戒」と題する書面をもって、被告らの右所説は異説であるから改めるよう訓戒したが、被告らはこれを改めなかった。

5  日蓮正宗においては、言論、文書、図画等をもって管長に対し誹毀又は讒謗した者(宗規二四九条三号)、又は日蓮正宗の法規に違反し、異説を唱え、訓戒を受けても改めない者(同条四号)は、管長が責任役員会の議決に基づき、懲戒処分として、同宗僧侶の身分を剥奪し、僧籍を削除する擯斥処分に付することができる(同一三条二項、一五条本文・七号、二四四条五号)ものとされていることから、日顕は日蓮正宗管長として、所要の手続を履践したうえで、被告らを擯斥処分にすることとし、日蓮正宗の僧侶たる身分を剥奪し、僧籍を削除する旨の擯斥処分の宣告書を、甲事件被告に対しては昭和五七年四月一〇日ころ、丙事件被告に対しては同年九月一九日ころにそれぞれ送付して、同処分を告知した(以下、「本件処分」という。)。

6  被告らは、本件処分によって、日蓮正宗の僧侶たる身分を失い、本件建物一、二の占有権原をも喪失した。

7  被告らは、本件訴訟においても、本件処分権者である日顕の法主、管長たる地位を争っているが、日蓮正宗内においては、日達死亡直後から、日顕が法主に就任したとして、各種儀式、事務が平穏かつ滞りなく執り行われ、日顕の法主就任について異を唱える者はおらず(被告らも久保川法章らが昭和五五年一二月一三日に日顕の法主就任に疑義を唱える質問状を発するまでの一年数か月間は日顕に信伏随従していた。)、被告らが日顕の法主就任に異を唱えた後も、日蓮正宗の能化全員、宗会議員全員とも日顕が日達から血脈相承を受けた唯一人の正統な法主であることを確認する等、日顕が法主に就任したことは日蓮正宗内部においては既に自治的に確定している。

8  ところで、裁判所が、訴訟上の請求の当否を判断する前提として、宗教ないし宗教団体に関連する事項について判断する場合には、宗教団体の自治、信教の自由及び裁判所法三条の趣旨に照らし十分な配慮をすべきところ、日蓮正宗の法主は、宗祖日蓮の血脈を受け継ぐ者として、特別の宗教上の権威、権能を有し、同宗の僧俗から高い尊崇を受ける立場にあり、右のような法主の地位の特性に鑑みれば、法主の就任の有無は日蓮正宗の自治に委ねるべきで、仮に裁判所において法主の地位の存否を認定する必要が生じたときは、法主の地位に平穏かつ公然と就任した事実から日顕が法主に就任したと認定すべきで、法主の就任手続が法主選任の準則に適合しているか否かについては審判すべきではない。すなわち、血脈相承が法主選任の準則の内容になっているかどうかを確定するには、日蓮正宗の教義、信仰の内容にわたる解釈、判断を加えることが不可避であり、憲法二〇条、裁判所法三条の趣旨から許されず、仮に、裁判所が法主選任の準則適合性を認定するとしても、血脈相承の存否を判断するためには「宗祖の血脈」及び「相承」の内容を確定することを要するが、血脈相承は前記のとおり、唯授一人、口伝の秘儀とされ、その内容は確定不可能で、その内容を確定しようとすれば、日蓮正宗の教義、信仰に深く立ち入らざるを得ず、憲法二〇条、裁判所法三条に反することになるから、裁判所としては前記のとおり日蓮正宗において自治的に確定した日顕が法主に就任したと認定すべきである。

六  再抗弁に対する認否

1  同1の事実中、昭和五三年四月一五日当時日達は、日蓮正宗第六六世法主であり、日顕は大僧都であったこと、及び日達が原告ら主張の日に死亡したことは認めるが、その余は否認する。

2  同2の事実中、被告らにおいて、日顕が法主に就任した当初、これに異を唱えず、信伏随従していたことは否認するが、その余は認める。

3  同3の事実は否認する。原告ら主張の血脈相承は法主選任の準則ではなく、信仰上のものであり、一方、被告らは、宗制宗規上要求されている当代法主による次期法主の選定の意思表示がないことを主張しているにすぎず、教義上の説を主張しているものではない。

4  同4の事実は認める。

5  同5の事実中、日蓮正宗において、原告ら主張のような規定が存すること、原告ら主張のころに被告らに対して本件処分が告知されたことは認めるが、その余は知らない。

6  同6は争う

7  同7、8は争う。裁判所による私的団体の自律権の尊重とは、当該団体内の行為の内容が、公序良俗に反しない限り当該団体の自治規範を適用すべきであるということで、自治規範の内容及びこれに対する適合性いかんにかかわらず、その当時の多数派の意見、信仰を裁判の基礎としなければならないというものではない。宗教法人法一二条は、宗教法人に代表役員の任免の準則を定めるべきことを要求しているが、日蓮正宗のように、法主が管長及び代表役員の地位に就くものとされているときは、法主の選任規範が法規範でなく、教義、信仰的規範であるとすれば、代表役員の任免に関する準則はないに等しくなる。日蓮正宗において「血脈相承」は三通りの意味がある。第一は、「信仰上の血脈相承」で、原告ら主張の内容のものであり、その存否は裁判所の審判の対象とならないものである。第二は、「宗教儀式としての血脈相承」で、宗教団体の統率者にカリスマ性を付与する儀式であり、日蓮正宗においては、この儀式によって「信仰上の血脈相承」が実現したものとされ、法主選任行為の存否についての間接事実となるものである。第三は、法主の地位の承継準則に基づく選定行為としての血脈相承すなわち法主選任の意思表示を内容とする選定行為であり、何ら宗教的色彩を帯びない事実行為である。本件訴訟においては、日顕の法主就任について、前法主による右第三の意味における血脈相承があったか否か、すなわち、日顕を法主に選定するとの意思表示の存否が審判の対象となるのであり、裁判所が審判を行うことは何ら問題がない。

七  再々抗弁

本件処分は、もっぱら前記訴訟(再抗弁2)を圧殺し、被告らの日蓮正宗僧侶としての責務の遂行を妨害し、裁判を受ける権利を否定する不法な動機、目的からなされたもので、権利の濫用として無効なものである。すなわち、被告らを含む日蓮正宗の多数の僧侶は、かねて日顕の法主就任の真否に疑問を抱いており、有志僧侶が昭和五五年一二月一三日、日顕に対し、同人が真実日達より相承を受けたかどうかを問う質問状を送付したが、日顕からは何らの回答もなかったことから、被告らは、日顕が正当に法主、管長に就任したものではないと判断し、前記通告及び訴訟の提起(再抗弁2)をした。ところが、これに対して日顕は、右訴訟を圧殺するために狂奔し、これを口実に被告らを擯斥処分に処することを企図して、被告らに対し、前記院達及び訓戒(再抗弁4)を送付したうえ、本件処分をしたものである。

八  再々抗弁に対する認否

再々抗弁はいずれも争う。

(乙、丁両事件)

一  請求原因

1  甲、丙両事件の抗弁1ないし3の事実と同じである。

2  原告ら寺院の各規則によれば、代表役員兼責任役員は、住職の職にある者をもって充てる旨定められている。

3  しかし、原告らは被告らが原告らの代表役員及び責任役員の地位にあることを争っている。

4  よって、被告らは原告らの代表役員及び責任役員の地位にあることの確認を求める。

二  請求原因に対する認否

請求原因1ないし3の各事実は認める。

三  抗弁

1  甲、丙両事件の再抗弁1ないし7の各事実及び8の主張と同じである。

2  被告らは、本件処分により、日蓮正宗の僧籍及び原告ら寺院の住職たる身分を失い、よって、原告らの代表役員及び責任役員たる地位を喪失した。

四  抗弁に対する認否及び主張

1  甲、丙両事件の再抗弁に対する認否及び主張と同じである。

2  抗弁2の事実は否認する。

五  再抗弁

甲、丙両事件の再々抗弁と同じである。

六  再抗弁に対する認否

甲、丙両事件の再々抗弁に対する認否及び主張と同じである。

第三  証拠〈省略〉

理由

(甲、丙両事件)

一請求原因及び抗弁の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。

二再抗弁(本件処分)の当否について検討する。

1  再抗弁5の事実中、日蓮正宗においては、言論、文書、図画等をもって管長に対し誹毀又は讒謗をした者(宗規二四九条三号)、又は日蓮正宗の法規に違反し、異説を唱え、訓戒を受けても改めない者(同条四号)は、管長が責任役員会の議決に基づき、懲戒処分として、同宗僧侶の身分を剥奪し、僧籍を削除する擯斥処分に付することができる(同一三条二項、一五条本文・七号、二四四条五号)ものとされていること、被告らの日蓮正宗の身分を剥奪し、僧籍を削除するとの本件処分の宣告書が甲事件被告には昭和五七年四月一〇日ころに、丙事件被告には同年九月一九日ころに送付さたことはいずれも当事者間に争いがない。

2  被告らは、本件処分は懲戒権のない者が行ったものであると主張するところ、日蓮正宗においては懲戒権者の管長は法主の地位にある者をもって充てる旨定められていることは当事者間に争いがないので、まず、日顕が法主に就任したか否かについて判断する。

(一)  はじめに法主の地位の存否に対する裁判所の審判権の有無について判断する。

〈証拠〉によれば、日蓮正宗の法主は、宗祖日蓮の血脈を相承した教義、信仰上の唯一最高の権威者として同宗の僧俗から高い尊崇を受ける地位にあって、教義を解釈し、本尊を書写し、日号、院号等を授与するなど特別の宗教上の権威、権能を有し、その書写した本尊は末寺あるいは信徒の家庭に安置され、日常礼拝の対象となっていることが認められ、これに反する証拠はない。

右のような法主の地位は宗教上の地位というべきであるが、具体的な権利又は法律関係をめぐる紛争の当否を判断する前提として必要がある場合には、その判断の内容が宗教上の教義の解釈にわたらない限り、裁判所は宗教上の地位の存否についても審判権を有すると解すべきところ(最高裁判所昭和五五年一月一一日第三小法廷判決、最高裁判所民事判例集第三四巻一号一頁参照。)、本件においては、被告らの本件各建物の占有権原の有無の前提として法主の職にある者をもって充てられている日蓮正宗管長日顕の行った本件処分の当否が争われているのであるから、日顕が法主に就任したか否かは右の請求の当否を判断する前提問題となるのであって、裁判所は同宗の教義の解釈にわたらない限り、日顕が法主に就任したか否かについて審判をすることができるといわなければならない。

(二)  そこで、日蓮正宗における法主選任の準則の内容について検討する。

宗規中に、「法主は宗祖以来の唯授一人の血脈を相承し、本尊を書写し、日号、上人号、院号、阿闍梨号を授与する。」(一四条一項)、「法主は、必要を認めたときは、能化のうちから次期の法主を選定することができる。但し、緊急やむをえない場合は、大僧都のうちから選定することもできる。」(同条二項)、「法主がやむを得ない事由により次期法主を選定することができないときは、総監、重役及び能化が協議して、第二項に準じて次期法主を選定する。」(同条三項)との規定が存することは当事者間に争いがなく、これらの事実と〈証拠〉によれば次の事実を認めることができ、〈証拠〉のうち右認定に反する記載部分は、右各証拠に照らし措信しがたく、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

(1) 宗規二条は「本宗の伝統は、外用は法華経予証の上行菩薩、内証は久遠元初自受用報身である日蓮大聖人が、建長五年に立宗を宣したのを起源とし、弘安二年本門戒壇の本尊を建立して宗体を確立し、二祖日興上人が弘安五年九月及び一〇月に総別の付嘱状により宗祖の血脈を相承して三祖日目上人、日道上人、日行上人と順次に伝えて現法主に至る。」と規定している。

(2) 日蓮正宗においては、宗祖日蓮を「仏宝」として崇め、その血脈(日蓮の悟った仏法の一切)は第二祖日興上人以下代々の法主に途切れることなく承継されているものとされ、伝統的に、同宗の法主は、宗祖日蓮の血脈を承継した者として、宗内最高の権威者とされている。

(3) 日蓮正宗においては、伝統的に、法主が交代する場合には、現法主から次期法主たるべき僧侶に対し宗祖日蓮以来の血脈を授け(「血脈相承」)、これを受けた者が現法主の退職又は死亡により新法主に就任するものとされてきた。ここに「血脈相承」とは、当代法主が、宗祖日蓮から代々承継されてきた血脈を次期法主たるべき者に授ける宗教的行為で、次期法主たるべき唯一人の僧侶に対し、一対一で、口伝により、内容、方法も秘密裡に行われるものとされ、また、「血脈相承」という宗教的行為の不存在は宗祖以来の血脈が途絶えることを意味し、血脈の不断は、日蓮正宗の教義、信仰の根幹をなしている。

(4) しかしながら他方、明治時代初期には当時の政府により仏教各宗派を七派にまとめ、一宗につき一管長を置き、これにその宗派の末寺の取締りをさせる宗教政策が採られ、明治一七年には各宗派に対し管長の存置及び教団規則の制定を義務付けるとともに、管長の就任及び教団規則の制定を認可制とする統制策が採られ、明治三三年に日蓮正宗の前身である日蓮宗富士派が独立した際は、同宗派が作成した法主中心の規定が監督官庁により修正され、一宗の統率者を管長とし、管長を法主と称するものとし、管長選任手続については、管長が次期管長候補者として大学頭を選任し、管長が欠けた場合に大学頭が監督官庁の認可を受けて管長に就任するものとし、大学頭が選任されていない場合は管長候補者を選挙する旨の同派宗制寺法が制定され、以後、後記のとおり昭和四九年に規則が改正されるまで同旨の規定が置かれていた。

(5) 右のような管長制は前記(2)、(3)の日蓮正宗の伝統にはなじまないものであったので、同派において、管長と法主の就任要件を画然と区別し、管長就任について監督官庁の認可がなされても当然に法主の資格が備わるものではなく、法主の資格を具備するにはあくまでも血脈相承が必要とされ、認可を受けた管長に対し法主が血脈相承を行ってきた。

(6) 戦後、宗教政策が変わり、前記監督官庁による管長認可制が廃止された後も、日蓮正宗においては管長職及び管長候補者の選挙に関する宗規の規定はそのまま残されていたが、戦後行われた第六三世から第六六世迄の法主承継に際しては、右選挙は実施されることなく、血脈相承を受けたとされて法主となった者が管長に就任した。

(7) 昭和四九年八月八日、日蓮正宗の伝統に近づけるべく宗規の改正が行われ、管長職は残したものの、一三条二項において「管長は、法主の職にある者をもって充てる。」と規定したうえ、管長候補者の選挙制を廃止し、法主が次期法主を選定する旨の一四条二項の規定が置かれた。

以上の事実によれば、日蓮正宗においては、宗祖日蓮の血脈が断絶することなく現法主に受け継がれているということが教義、信仰の根幹をなしており、宗教政策により監督官庁による管長認可制及び管長候補者選挙制が採られていた時代にあっても血脈相承という宗教的行為が法主の選任要件とされていたということができる。そうすると、宗規一四条二項にいう「選定」とは血脈相承を授けることを意味し、同項但書の「緊急やむを得ない場合」とは法主がその裁量により大僧都の僧階にある者を次期法主にふさわしいと判断した場合をも含むと解するのが相当である。

これに対し、被告らは、日蓮正宗のように管長ひいては代表役員の地位が法主のいわゆる充て職とされている場合に、法主選任の準則が法規範ではなく教義、信仰上の血脈相承という概念であるとすれば、代表役員の任免準則については何も規定されていないに等しく、宗教法人法の要請は充たされない旨主張するけれども、同条は予め一定の代表役員任免の準則が定められていることを要請しているにとどまり、選任手続から宗教的要素を排斥していると解すべき根拠はない。そして、右のように宗教的行為が選任要件とされている場合においても、裁判所がその存否を一切判断できないものではなく後記のような手法で判断することができるのであるから、宗教的行為が選任要件とされているからといって準則としての異議を否定されるべきいわれはないといわなければならない。

(三)  次に、日顕が法主選任の準則に従って法主に就任したか否かについて検討する。

(1) 昭和五三年四月一五日当時日達が日蓮正宗の第六六世法主であり、日顕は同宗の大僧都であったこと、日達が昭和五四年七月二二日死亡したことは当事者間に争いがない。

(2)  ところで、日蓮正宗における血脈相承の意義、及び血脈相承が同宗の教義、信仰の根幹をなしていることは前記のとおりであるところ、もし裁判所が日達から日顕への血脈相承の存否につき直接審理、判断するには、宗祖の血脈とは何か、それがどのようにして伝授されたのかなどの点につき審理せざるを得ず、いきおい、日蓮正宗の教義に深く立ち入ることとなって、宗教団体の自治及び信教の自由を侵害するおそれがあるといわなければならない。したがって、裁判所は、血脈相承の存否を直接審理判断することは差し控えるべきで、本件処分時、日蓮正宗内部において、日顕が血脈相承を受け法主に就任したものと確定的に承認されていたか否かを審理し、これが認められるときは、同宗の自治を尊重し、血脈相承が存在したことを前提として裁判をするのが相当である。

(3) そこで、本件処分時、日蓮正宗内部において、日顕が血脈相承を受け法主に就任したと確定的に承認されていたかどうかを検討するに、〈証拠〉によれば、次の各事実を認めることができ、これを覆すに足りる証拠はない。

① 前記日達死亡当日、日蓮正宗総本山大石寺において、当時の総監日顕、重役椎名日澄、能化早瀬日慈及び庶務部長藤本栄道が出席のうえ緊急重役会議が開催され、その席上、日顕は、同人が昭和五三年四月一五日大石寺において日達より血脈相承を受けていた旨発表し、他の出席者らは謹んでこれを拝承した。

② 右椎名重役は、日達死亡当日行われた密葬の通夜の席上、日蓮正宗のほとんどの僧侶を含む参列者に対し、右重役会議の次第を述べ、日顕が法主に就任した旨発表し、参列者一同はこれを拝承した。

③ 日蓮正宗宗務院は、宗内に、昭和五四年七月二二日付第三〇五七号院達をもって、日顕の法主就任の事実を伝え、新法主のもと一致団結して奉公を尽くすよう求める通達を、さらに、同月二三日付第三〇五八号院達をもって、日顕の法主及び管長就任の事実を伝える通達を発した。

④ 同年八月六日、大石寺において、日顕の法主就任の儀式である「御座替式」(おざがわりしき)が行われ、日蓮正宗の僧侶の代表がこれに参加した。その後、これに引き続き、日顕の登座を祝うとともに同法主と師弟の契りを固める儀式である「お盃の儀」(おさかずきのぎ)が行われ、これには総監、重役、能化全員及び宗会議長をはじめとする宗内の主な僧侶並びに信者の代表が参加した。

⑤ 日顕は、同年八月二一日、法主、管長就任にあたっての訓諭(管長が一宗を嚮導するための達示で日蓮正宗内では最も重要な指南とされている。)を発し、日達より血脈相承を受け、同年七月二二日総本山第六七代の法燈を嗣ぎ、日蓮正宗管長となった旨を述べた。

⑥ 昭和五五年四月六日、七日の両日大石寺において、日蓮正宗の全僧侶及び多数の信者の参加のもとに、日顕の法主就任を宗祖日蓮に奉告する「御代替奉告法要」(おだいがわりほうこくほうよう)が行われた。

⑦ 日顕は、日達死亡後、新法主・管長就任に関連する儀式、事務等のほか、本尊書写をはじめとする法主・管長としての職務を遂行した。

⑧ 以上の諸儀式、事務等が行われた際、日蓮正宗内においては日顕が第六七世法主に就任したことに対し異を唱える者もなく、被告らも日達死亡後昭和五五年一二月一三日久保川法章らが質問状を発して日顕の法主就任に疑義を唱えるまでの一年数か月間日顕の法主就任に対し異議を述べず、日顕に信伏随従していた。

⑨ 被告らが日顕の法主就任に異を唱えたのちも、日蓮正宗の能化全員は、昭和五七年一月一九日、日顕が日達から血脈相承を受けた唯一人の正統な法主であることを確認し、これに異を唱える者を異端、謗法の徒である旨糾弾する声明を発し、同宗の宗会議員全員もまた、同月二二日右能化による声明と同趣旨の声明を出した。

右の事実によれば、日達死亡後直ちに、公式の場で日顕が日達から血脈相承を受けた旨発表し、その後宗務各機関から口頭又は書面によりその旨宗内に伝達され、これに対し僧侶、信者らは何ら異議を唱えず、日顕の法主就任に関連する諸儀式が平穏に行われ、また、日顕も法主の職務を遂行していたというのであって、初めて日顕の法主就任につき疑義が主張されたのは日達死亡後一年数か月を経た昭和五五年一二月であり、しかも、後記認定のとおり、この疑義は日顕による懲戒処分に対抗するため主張されたにすぎないとみられるから、少なくとも日達死亡後約八か月後に行われた右「御代替奉告法要」の終了当時までには、日蓮正宗宗内において、日顕が日達から血脈相承を受けていた旨確定的に認められたというべきである。したがって、日顕は、昭和五四年七月二二日日蓮正宗の法主に就任し、宗規一三条二項により同宗管長に就任したと認められる。

3  次に、再抗弁2、3(擯斥処分事由)について検討する。

(一)  被告らが、昭和五六年一月一一日付通告文をもって日顕は血脈相承を受けていないと日顕の法主就任に異議を唱え、日蓮正宗全国檀徒新聞「継命」同月二二日号にこれを掲載して公表するとともに、同月二一日静岡地方裁判所に日顕を被告として代表役員等地位不存在確認請求訴訟を提起し、同訴訟手続において同趣旨の主張を行ったうえ、「日顕の『法主』の地位は、宗制宗規に基づかないいわば僣称にすぎず、就任には正当な根拠がない。」と主張したことは当事者間に争いがない。

(二)  被告らの右主張が日蓮正宗の異説に該当するとして本件処分がなされたことは当事者間に争いがないところ、ある所説が宗教団体において異説に当たるか否の判断はその教義と密接に関連し、教義の解釈にわたらざるを得ないから、裁判所は、公序良俗に反しない限り、宗教団体の自治及び信教の自由を尊重し、当該団体において自治的になされた解釈を尊重すべきものと解するのが相当である。

そこで検討するに、前掲甲第一号証によれば、宗規一五条五号は、管長は責任役員会の議決に基づいて教義に関して正否を裁定する旨定めていることが認められ、異説か否かの裁定権限は管長にあるところ、〈証拠〉によれば、日顕は、昭和五七年一月一五日ころ、日蓮正宗管長として、責任役員会の議決に基づいて、日顕の血脈を否定し、日達が誰に対しても血脈相承をなさなかった旨の主張は同宗の教義に反する異説である旨を裁定したことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。したがって、被告らの所説は、日蓮正宗の教義に反する異説に該当するといわなければならない。

(三)  再抗弁4(日蓮正宗が被告らに対し改説を促す訓戒をしたが、被告らは所説を改めなかったこと)の事実は当事者間に争いがない。

そうすると、被告らの右(一)、(三)の行為は、宗規二四九条四号に規定する擯斥処分事由に該当するといわざるを得ない。

4  〈証拠〉によれば、日顕は、日蓮正宗管長として、同宗藤本栄道総監による事実審査を経たうえ、甲事件被告については昭和五七年四月五日、丙事件被告については同年九月一六日の各参議会の答申及び責任役員会の議決に基づいて、被告らを擯斥処分にすることを裁可し、宗規二五三条所定の事項を記載した前記擯斥処分の宣告書を作成したことが認められ、これに反する証拠はない。

5  以上によれば、被告らには宗規二四九条四号に規定する擯斥事由が存在し、懲戒権者である日顕により、宗制宗規所定の手続に則って本件処分に処せられたのであるから、被告らの行為がさらに宗規二四九条三号に該当するか否かを論ずるまでもなく、再抗弁は理由がある。

三続いて、再々抗弁である懲戒権の濫用について判断する。

1  まず、本件処分に至った経緯についてみるに、〈証拠〉によれば、次の事実を認めることができ、これを覆すに足りる証拠はない。

(一)  訴外宗教法人創価学会は、宗祖日蓮の遺命とされる「広宣流布」を達成し、日蓮正宗を外護することを目的とする日蓮正宗の信徒団体であるが、昭和二六年ころから組織が拡大し始め、昭和五〇年代には会員数も約七百数十万世帯、約一〇〇〇万人に達したと公称され、日蓮正宗檀信徒の大多数を占めるようになった。そして、創価学会は、右信徒の拡大のほか、日蓮正宗の総本山の諸建物及び多数の末寺を建立して寄進するなど、同宗に対し多大の貢献をするに至ったが、反面、伝統的な教義、信仰との関係をめぐり宗門との間に対立を生ずるようになった。

(二)  昭和五二年ころ、両者のあつれきが深刻化する中で、創価学会のあり方に批判的な僧侶により、講の席などで創価学会批判がなされる一方日蓮正宗の教義に従った正しい信仰を確立するとのいわゆる正信覚醒運動が行われるようになり、昭和五三年にはこれが全国的に拡大し、同年八月から昭和五五年一月にかけて四回にわたり、創価学会を脱会した信徒を集めて、全国檀徒大会と称する集会が開催された。

(三)  日達は、日蓮正宗の方針として、創価学会が日蓮正宗の信徒団体であることを明確にし、その教義を順守すること及び組織の改革をすることなどの条件を充たせばこれと協調していくといういわゆる僧俗和合路線を採り、創価学会側もこれに応じたため、昭和五四年五月三日創価学会第四〇回本部総会において、日達が宗門と創価学会との対立の収束、僧俗和合を宣言する一方、日蓮正宗では右総会前後から創価学会批判及び正信覚醒運動を強く禁止するに至った。そして、日達死後法主に就任した日顕もまた、右僧俗和合の方針を堅持し、訓諭、院達及び諸行事等を通してこれを強調し、その徹底を図った。

(四)  ところが、右方針に反対する一部僧侶らは、昭和五五年七月「正信会」なる組織を結成し、同年八月二四日、日顕及び宗務院による制止あるいは中止命令に反して、日本武道館において第五回全国檀徒大会を開催した。そこで、日顕は、日蓮正宗管長として、右大会関与者らを懲戒処分に付した。これに対し、被処分者らは、日顕や責任役員会に対し処分の撤回を要求し、あるいは裁判所に地位保全の仮処分を申請するなどして争った。

(五)  その後、創価学会の顧問弁護士であった山崎正友が、雑誌「週刊文春」昭和五五年一一月二〇日号誌上に日達から日顕への血脈相承には疑問がある旨の手記を発表し、正信会に属する一二名の僧侶が、同年一二月一三日ころ、日顕に対し、右手記に基づき血脈相承に関する疑義を質す質問状を送付した。続いて、被告らを含む一四一名の僧侶は、昭和五六年一月一二日、日顕に対し、同人が血脈相承を受けたことを否定し、同人を法主・管長とは認めない旨の前記通告文を送付し、日顕の法主就任発表以来初めて血脈相承を否定するに至った。その後、被告らは、血脈相承の不存在を理由として、前記のとおり日顕の代表役員等地位不存在確認訴訟を提起した。

そこで、前示のとおり、日蓮正宗においては、被告らの所説が異説であると決定して、本件処分を行った。

2  右の事実をもとに再々抗弁の当否について判断するに、右認定事実によれば、被告らは、日顕の法主就任後一年数か月は右就任を異存なく受け止めていたが、僧俗和合の方針を採った宗務当局と考え方が決定的に分かれ、その意思に背いて第五回全国檀徒大会を開催したことを理由に懲戒処分を受けるや、前記山崎の手記を手掛かりに、抗争の手段として、日達から日顕への血脈相承を否定し、前記訴訟を提起するに至ったものとみられる一方、前示のとおり、血脈相承が日蓮正宗の教義、信仰の根幹にかかわるものとされていることからすれば、同宗において被告らの所説を異説と判断したうえ擯斥処分に付したからといって、本件処分が被告らの訴訟を圧殺し、被告らの日蓮正宗僧侶としての責務の遂行を妨害し、裁判を受ける権利を侵害する不法な動機、目的からなされたものであるということはできない。

四以上によれば、被告らは、本件処分によって日蓮正宗の僧侶の地位を失い、これにより原告ら各寺院の住職の身分も喪失し、その結果本件各建物の占有権原を喪失したから、右各建物を明け渡す義務がある。

(乙、丁両事件)

一請求原因1ないし3の事実は当事者間に争いがない。

二甲、丙両事件の理由二で判示したとおり、被告らは、原告ら各寺院の住職たる身分を喪失し、その結果代表役員兼責任役員の身分も喪失した。従って原告らの抗弁は理由がある。

三甲、丙両事件の理由三で判示したとおり、被告らの再抗弁は理由がない。

(結び)

以上の次第で、原告らの本件各建物の明渡しを求める本件甲、丙事件請求は、いずれも理由があるから認容し、被告らの代表役員等の地位の確認を求める本件乙、丁事件請求は、いずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条一項本文を、仮執行宣言については同法一九六条を各適用し、主文のとおり、判決する。

(裁判長裁判官豊島利夫 裁判官片桐春一 裁判官板野征四郎)

別紙物件目録〈省略〉

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